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 導入事例

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製品開発管理システム導入事例   

 開発リソースの最適化とプロジェクトのマクロ的可視化 
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自動車部品メーカーにおいて、車体メーカーに対する顧客満足度を向上させることは長期的かつ
安定したビジネスを確保することに繋がる。そのためには、高品質なものを納入することは当然の
ことながら、短縮傾向にある開発リードタイムに追随する必要がある。車体メーカーが商品を市場
投入するタイミングは、他社動向やユーザー志向の変化に合わせて変更される。プロジェクトマネ
ジメントの考え方からすれば、急な納期変更はプロジェクトを混乱に陥れる要因でしかないが、そ
れに対応せざるを得ないのが、Time to Marketが重視されるビジネス領域における企業の宿命で
ある。いかに限られたリソースを効果的かつタイムリーにプロジェクトに投入できるかが企業の運
命を左右するといっても過言ではない。本項では、リソース最適化を目指して取り組んだ「製品開
発管理システム構築プロジェクト」の事例を紹介する。
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 導入背景  この企業では、変速機の開発・製造・販売を中心
とした事業を行っている。変速機は大きく分けてス
テップ式ATとCVT(無段変速機)に分けられるが、
特にCVTは燃費向上、排出ガス削減効果があること
から環境対応という視点で注目され、受注が高まっ
ている。また、ユーザー志向の多様化から車体メー
カーの商品ラインナップも多様化し、それに伴い、
適用車種も増加傾向にある。商品ライフサイクルも
短縮傾向にあり、車体メーカーは三次元CADを活用
した開発工程の改善などを行い、リードタイムの短
縮を行っている。このようなビジネス環境の変化に
対応するため、製品開発管理を強化し、車体メーカ
ーの開発リードタイム短縮への対応、効果的かつタ
イムリーなリソース投入の実現を目指している。
1.リソース状況確認に時間がかかる
開発スピードの加速やプロジェクトの問題解決な
どリソースを追加投入すべき場面は多々あるので、
リアルタイムでリソース状況を把握して、タイムリ
ーなリソース投入を行いたい。
2.リソース調整に必要な情報が揃っていない
リソース調整を行うにあたって必要となる情報
は、リソース情報以外にもいろいろある。なんのた
めにリソース調整を行うのかといえば、車体メーカ
ーからのスケジュール変更に応えるために追加リソ
ースを投入したり、何らかの原因で遅延しているス
ケジュールを挽回するために追加リソースを投入し
たり、予定している品質レベルを確保するために追
加リソースを投入したりすることが少なくない。つ
まり、スケジュール状況や品質状況等がリソース調
整を行うためのトリガーとなる。また、リソースに
は限りがあることから、あるプロジェクトにリソー
スを追加投入するには、他プロジェクトへのリソー
ス投入を減らすことになる。このような状況の中、
適正なリソース配分を考えるためには、プロジェク
トに関するあらゆる情報を元に検討する必要があ
り、そのような情報が一元管理されていないとタイ
ムリーな判断ができない。
3.問題が発生する前にその要因を認識できていない
プロジェクト情報を可視化し、関係者で共有する
ことによって、問題点を早期に発見する。プロジェ
クトマネジメントの目的としてよく言われることで
あるが、ある意味これは結果を表しているものであ
る。例えば、スケジュール状況を可視化することに
よって、作業の遅れが検知できるかもしれない。し
かし、実際には可視化される以前に、担当者レベル
で認識していることが多い。そもそもそのような状
況になることが問題であり、そのような状況を作り
出す要因を早期に把握すること、つまりリスクマネ
ジメントが重要なのである。「頑張りましたが、終
わりませんでした」とならないように、プロジェク
トへ悪影響を及ぼすと思われる要因を早期に把握し
て、対応できるようにしたい。
4.プロジェクトを全体最適の視点から調整する機能が不足している
開発プロジェクトを進めるにあたって、あらゆる
調整を行ってはいるものの、プロジェクト軸ではな
く、部門軸で調整することが多い。部門最適を目指
して調整されるため、プロジェクトとしては効果的
ではないことも少なくない。プロジェクトマネージ
ャーの権限が弱い部門調整型マトリクス組織によく
ありがちな問題である。これでは部門として有効な
調整ができたとしても、プロジェクトにとっては悪
影響を及ぼす場合もある。望ましい調整は、企業と
してプロジェクト価値が最大化できることである
が、現時点でそのような役割を担える組織が存在し
ない(図表-1)。
 実施内容  上記にて洗い出された課題に対して、具体的にど
のようなことを実施したのか以下に説明する。
1.リソース状況の可視化
リソース状況把握といった場合、詳細度合いをど
のレベルとするかがポイントとなる。そのため、誰
が、いつ、何を確認するのか、これをしっかり分析
する必要がある。
■誰が活用するのか
一般的には、プロジェクト軸、部門軸、PMO
(プロジェクトマネジメントオフィス)的な第三
者軸の3つが想定され、検討した結果、プロジェ
クトマネージャー、グループ長、開発管理部が洗
い出された。開発管理部については将来的には
PMOとして位置付けられる。
■いつ活用するのか
工数入力の締め日との関係もあるため、月次で
データを最新状態とし、いつでも確認ができる必
要がある。
■何を確認するのか
プロジェクトマネージャーの立場では、自分の
プロジェクトの計画と実績の対比、将来見通しが
主な関心事である。グループ長の立場では、自部
門でのリソース負荷が主な関心事であり、現時点
で負荷が高い場合どのように調整するか、将来の
負荷分散をどのように行うかといったことの解決
が求められる。開発管理部の立場では、工数をか
けずにリソース情報を関係各所に提示できるか、
つまりリソース情報に関するレポーティングにか
ける工数が主な関心事である。情報の内容はプロ
ジェクト軸、部門軸の双方に関して、その計画及
び実績である。また、個人レベルまで捉えるのか
否かについては非常に重要な判断であり、組織と
してのマネジメント成熟度や必要性を考慮しなけ
ればならない。
これらを実現するための方策は3つ。1つ目はリ
ソース計画をしっかり立案することであり、これは
現在Excelにてプロジェクト毎・グループ毎にリソ
ース計画を立案しているので、それをArtemis 7に
入力してもらうことで実現できる。2つ目は実績を
把握すること。これは現在実施している工数入力の
値をシステム的にArtemis 7に取り込むためのイン
ターフェースを構築することで実現する。3つ目は
レポーティングであるが、Artemis 7のExcel
report機能を使用して、既に使用しているレポート
及び追加レポートを実現する。
2.プロジェクト情報のマクロ的可視化
プロジェクト情報といっても多様であり、情報が
増えればそれだけ管理工数も増えることになるの
で、投資対効果を考えて扱うべき情報を選別する必
要がある。検討した結果、スケジュール状況につい
ては、プロジェクト毎の主要マイルストン、部品毎
の主要マイルストン、部品毎の作業スケジュールの
計画・実績をArtemis 7で把握できるようにする。
品質状況については、別途管理されている開発品質
情報の中から、重要な品質指標とプロジェクトマネ
ージャ判断による定性的な情報をArtemis 7で把握
できるようにする。その他にも、人件費以外のコス
ト状況、営業利益状況なども順次追加していき、プ
ロジェクトのマクロ的な可視化を実現する。
3.リスクマネジメント教育とプロセス構築
リスクマネジメントは企業や組織でのマインド醸
成が重要であり、そのためには、リスクマネジメン
トの理解とリスクマネジメントプロセスの構築が最
優先課題である。具体的には、プロジェクト関係者
を対象にリスクマネジメント教育を行うこと、
PMO的な組織がリスクマネジメント支援を行える
ようなプロセスを構築することが必要である。リス
クマネジメント教育の内容は、リスクマネジメント
に関する座学とワークショップ形式による実プロジ
ェクトを対象としたリスク識別・分析・対応計画立
案である。リスクマネジメントプロセスの構築につ
いては、プロジェクトにおけるリスクマネジメント
活動に加えて、リスクや課題を蓄積することで企業
ナレッジとして有効活用することも考えていく必要
がある。
4.プロジェクトマネジメントオフィスの設置
企業としての全体最適を目指し、プロジェクトと
部門に対して第三者的立場のプロジェクトマネジメ
ントオフィスを設置する。それでは、どのようなプ
ロジェクトマネジメントオフィスを設置すればいい
のだろうか。一般的には支援型、管理型、ライン型という3パターンが定義されているが、どの型で設
置するかは、組織成熟度や目的に依存する。今回は
リソースの最適化を目指していることから、開発管
理部を中心とした管理型のプロジェクトマネジメン
トオフィスを設置し、製品開発管理システムにリソ
ース情報、その他プロジェクト情報を一元管理し、
それを活用してリソース調整を行えるようにする。
将来的には開発部門だけではなく、生産部門や調達
部門も包含するような戦略的プロジェクトマネジメ
ントオフィスを目指す(図表-2)。
 導入効果  現在導入コンサルティング実施中のため、まだ効
果は表れていないが、関係者へのヒアリングやワー
クショップでの意見交換の状況からすると、何とか
現状を打破し、より効率的な価値提供を目指そうと
いう意欲が感じられる。実施内容がうまく機能すれ
ば、リソースマネジメントのシステム化により、開
発状況を確認するために情報収集に奔走していた担
当者の負荷が軽減され、早めに対応できるようにな
ることが期待できる。また、プロジェクト情報が共
有・保存されることにより、ナレッジマネジメント
としても活用でき、開発状況を生産部門や調達部門
がシステムを活用して常時確認できるようになれ
ば、関連部門において早めに準備作業に着手できた
り、意識合わせをしたりすることができる(図表-3)。
 まとめ  今回のリソースマネジメントを中心としたソリュ
ーションを第1ステップとして、今後はプロジェク
トマネジメントの組織成熟度を向上させていく。管
理階層を経営、ミドル、現場の3階層で考えた場合、
今回はミドル層に対するプロジェクトマネジメント
強化であり、今後は現場での詳細タスク管理や個人
レベルでのリソースマネジメント、経営層に対して
はポートフォリオマネジメントによる事業軸でのマ
ネジメント強化などが考えられる。また、商品軸で
の企画~開発~量産といったプロダクト・ライフサ
イクル・マネジメントを行い、開発部門だけでなく、
企画部門、生産部門、調達部門、営業部門といった
バリューチェーン全体に関わる部門すべてで機能す
るようなマネジメント体系の整備を目指す。
 プロファイル  日本有数の自動車部品メーカー。国内のみならず
海外にも多くの工場を持つ。社員数千名。
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